今、あなたの力が必要な理由

vol.32

大阪湾の環境保全とアマモ場の復活を目指す~生態系や海の生活文化を守る~

岩井克巳

岩井克巳さん- Katsumi Iwai -

日本ミクニヤ株式会社 専務取締役、NPO法人大阪湾沿岸域環境創造研究センター 専務理事、NPO法人環境教育技術振興会(CAN) 理事

略歴

  • 1988年:東海大学海洋学部卒業/日本ミクニヤ(株)入社
  • 2007年:NPO環境教育技術振興会 理事
  • 2010年:NPO法人海辺つくり研究会 監事
  • 2011年:NPO法人大阪湾沿岸域環境創造研究センター 専務理事
  • 2013年:日本ミクニヤ株式会社 専務取締役

岩井さんは何をされていますか?

私は環境、防災のコンサルタントを本業としています。専門は海の環境保全や修復で海の環境を改善していくために、どのような技術を適応し、どの様な効果が得られるのかなどを調べています。例えば、海の埋め立てなどの環境を大きく変えてしまう恐れがある事業が実施される前に行う「環境アセスメント」などもコンサルタントの仕事の一部です。この本業以外に、大阪湾を中心にNPO活動も行っています。

私がNPOで市民活動を始めたきっかけは、本業のコンサルタントの仕事で、一般の方に環境への影響について説明している時に、内容が十分に伝わらず、聞いている方が「ポカーン」とした表情をしていたことです。それは、私たちが当たり前に使っていた「専門用語」が一般の方にはなじみが無く、よく理解できていなかったとわかりました。

つまり、私たちにとって常識的な言葉、例えばCOD・リン・窒素・塩分濃度などの言葉は、一般の方にはよくわからない「専門用語」だったのです。では、人に伝えるにはどうしたら良いか? そのためには、「専門用語」を皆さんが知ってる単語や感覚に置き換えて伝えなくてはならないことに気づきました。

大阪は目の前に海があるのですが、垂直にそびえる岸壁や工場地帯があり、水辺まで行って海に直接触れることがなかなかできません。そのような環境の中で、言葉や写真だけで大阪湾の環境や起きている問題の話をしても「あーそんなんだ」と思うだけです。実感のこもっていない他人事として、心にも響きません。

できる限り多くの方に大阪湾を理解し、自分事として感じて頂くために、実際に海に触れながら体験活動や学習会ができる大阪湾南部の南泉州地域でイベントや授業を行っています。

また、大阪湾にダイビングスポットを創っていこうという活動もしています。これは、私も含めた大阪のダイバー達が、ダイビングをするのに大阪湾を素通りし、和歌山県や日本海に潜りに行っていることに疑問を感じたためです。大阪湾に対して何か良いことができないか? 大阪湾を潜れる海にしてダイビングスポットを作れたら、環境にも優しいのでは無いか? との思いで活動しています。目指しているのは、大阪湾でダイビングができることです。

西鳥取漁港に藻場形成を成功させる

アマモ場は自然に増えてくるのが理想ですが、場合によっては移植や増えやすい場をつくるなど、人の手を借りて増やしていくことも必要です。

2005年に大阪湾の海中に潜って湾内調査をした際に、貝塚市の二色浜海水浴場で大きなアマモの群落を発見しました。最初見つけた時は、まさかこんなところにアマモの群落があるとは思っていなかったので大変驚きました。二色浜は以前からアマモの群落はありましたが、埋め立て工事でなくなったと思っていました。しかしアマモが増えやすい環境だったのか、少しだけ残った株から増えたのだと思います。

私たちはこのアマモ場を7、8年間観察し続けてきましたが、自然な状態で増減を繰り返しながら生育エリアが広がり安定してきたので、移植などはせずに観察は終わりにしました。最近では貝塚市にある博物館「貝塚市立自然遊学館」のスタッフのみなさんがモニタリングを続けてくれています。

2008年には、漁師さんから情報を頂き、阪南市の西鳥取漁港東側にも大きなアマモの群落があるのを確認しました。漁港を挟んだ反対側に、同様の環境なのにアマモが僅かしか育っていないエリアがありました。過去にアマモが生育していたとの話を地元の漁師さんから聞き、少しでも増える環境があるのならと、地域の西鳥取小学校の子供達と、アマモの種取りや苗植えなどの再生活動を始めました。その小学校との活動は今年で11年目に入り、現在では授業の一環として取り組んでいます。

西鳥取漁港西側海岸に植える種はどこから?

西鳥取漁港東側に元々あった群落から採取しています。以前は二色浜や箱作自然海岸からも種を採取していましたが、少ない群落から種を採ると、広がって行こうとする自然の能力を奪ってしまいます。だから、できるだけ大きな群落から少しづつ取るようにしています。阪南市の尾崎漁港周辺にも自然に形成された大きな群落がありますので、そこからも種を取ります。1箇所から採りすぎないようにバランスを考えるように心がけています。

種は育ちましたか?

私たちが行っているアマモの移植は、大きく分けて3種類の方法があります。1つは「苗移植法」で、砂を入れたポットにアマモの種を植え、陸上の水槽で15cmぐらいまで育苗し海へ移植する方法です。他には、近隣のアマモ群落から成長したアマモの株を採取してきて移植する「栄養株移植法」、種を紙粘土に貼り付けて直接海に蒔く「播種法」で行っています。

ポットによる育苗では、平均して60%程度の割合で発芽しますが、海に移植すると大半が流出してしまい、群落を形成できるまではいきませんでした。アマモは海底の砂の条件が整えば増えるというわけではなく、水温、塩分、日照など複雑な条件が絡み、そのバランスで増えたり減ったりします。発芽までは比較的順調に育っても、その年の気象条件によって変わってきます。西鳥取漁港西側海岸での活動は、当初はなかなか増えていきませんでしたが、最近は順調に増えています。よい条件が揃ったのか一気に広がり、かなりの面積に広がってきました。

やはり時間がかかりますね

一般的に生き物に関することは、最低でも5年は見続けないと本当に効果があるのか分からないです。例えば、海底に漁礁を入れたとします。始めは、魚が興味津々に集まります。ただ、その漁礁を生活圏として魚種が増え、棲みつくまでには何年もかかるんです。それと一緒で、アマモも発芽したからアマモ場が増えましたとは言えず、芽が出て成長し、種を作って子孫を残すまでたどり着いて、初めてアマモが定着したことになります。このプロセスを踏まないと、再生をしている意味がありません。

特に、大阪湾のアマモは多年生のため、種から出た芽は1年目は花をつけません。1年間は自分が成長することで一杯一杯なのでしょう。次の年に地下の根っこ(地下茎)が伸びて枝株を増やし、その中の1つがようやく花枝という花を咲かせて種を作る枝になり、子孫を作るという生態のサイクルが出来上がります。だから、アマモの成長を見るには最低でも2年以上の観察が必要です。

なぜ消波ブロックの内側に植えるのですか?

アマモは波当たりがきつ過ぎると根っこごと抜けてしまいます。今のところ大阪府側でアマモが生えている場所は、沖合に消波ブロックなどがあるか、波当たりを弱める護岸が周囲にあります。尾崎の海岸や西鳥取の海岸はいずれも消波ブロックがあり、その内側でアマモ場が広がっています。泉南市の樽井サザンビーチのアマモ場は、沖合に消波ブロックはありませんが、海水浴場造成の際に、砂の流出を防ぐための潜堤(海中に沈んでいる防波堤)が入っており、砂の流出を防いだり波当たりを柔らかくしてくれています。

大阪湾の南部沿岸は、北西や西からの風が強く吹くと風に押されて波が高くなります。大阪府側では、その高い波の影響を直接受けないところに多くのアマモが生えています。アマモは地下茎がしっかりと張っているため、少しくらいの波では動きませんが、地下茎ごと掘り起こされるほど強い波が来ればアマモは流されてしまうでしょう。

そもそも岩井さんがなぜアマモに興味を?

私の元上司の方からのアドバイスがきっかけです。大阪湾では、15年前に東京湾再生に続き大阪湾再生と言う国家プロジェクトが動き出し、産官学民が連携して海の再生を推進していくことになりました。その頃、海の再生の象徴的な存在であったアマモ場再生を大阪湾でも推進していこうと、当時東京湾再生で取り組んでいたその先輩から色々教えていただきました。

大阪では、東洋建設さんが大規模なアマモ場造成の技術を持っていたので、一緒に活動させて頂いていました。

高温に弱いアマモ。高水温に強い品種は開発されないのでしょうか?

今の品種改良技術を持ってすれば、そのような開発も不可能では無いと思います。ただ、その開発技術を「どう利用するの?」ということです。果実や野菜・穀物など、農業分野では様々な品種改良が行われており、高品質ものが安定的に取れ、糖度の高い果物が育つなど経済的な波及効果を得ています。

例えば、りんごが甘くなるとか、果実が多く実るなど、品種改良によって商品価値が上がる。という直接的な見込みがあるからこそ、品種改良の技術が開発されます。アマモの種の品種改良では、この様な直接的な経済効果が見込めるわけでも無く、間接的な効果も含め、どれだけ経済効果が上がるのかは残念ながら断言できる人はいないと思います。

しかし、アマモによる環境改善での「経済効果」ではなく、アマモ場を含めた、環境が改善される場が減少することによる「経済損失」という考え方で見ていくとどうでしょう。

例えば、良い環境から悪い環境にする事は一瞬でできます。掘ったり埋めてしまえばいいのです。しかし、悪い環境を良い環境に戻そうとすると、そのためには何十年、何百年という単位の時間がかかります。その間の投資を考えると、再生活動をしない事による損失よりも、再生活動を行って損失を抑制することの効果は計り知れません。その視点からすると、品種改良の技術開発をしてアマモを増やそうという話になってくるかもしれませんね。あながち、非現実的な取り組みではないかも知れませんが、現状ではやらないでしょうね。

大阪湾はきれいになりすぎたとテレビの報道がありました。大阪湾の問題点とは?

「きれいになりすぎた」という言葉だけ一人歩きするのは問題です。確かに大阪湾の南部は透明度が上がりました。そういう意味では「きれい」になりました。しかし、もともと「魚庭(なにわ)の海」と呼ばれていた大阪湾を、人間の感覚のきれいを求めていいのでしょうか? 私が講演会などで「きれいとはどういう状態ですか」と皆様に聞いて見ます。その答えは、「究極にきれいな水は蛇口をひねればわかります。世界一きれいな水が出てきます。」と説明します。日本の浄水の技術は世界一ですから。

では、その水で魚が住めるでしょうか? 大阪湾を水道水のようにきれいな海にすることが本当に良いことでしょうか? 本来の「きれいな大阪湾」は、魚がたくさん泳いでいるとか、美味しい魚が取れることなどが大切なことで、魚などの生き物全般にとっての「きれい」であるべきだと思います。

「豊かな海」という表現が定着してきています。大阪湾が目指していくのは、魚にとってのきれいな海であり、この「豊かな海」なのだと思います。

最近、大阪湾はきれいになりすぎて栄養が足りなくなり、ノリやワカメの成長に影響を及ぼしていると言われています。では、きれいになったから栄養が足りないのでしょうか?

確かに大阪湾南部では、以前と比べて栄養の供給が減ってきているのは事実です。しかし、先ほども述べたように、「きれい」は人間の感覚であり、生き物全般にとっての「きれい」ではありません。栄養塩が少なくても汚い水はありますし、逆に栄養塩が多くてもきれいな水もあります。難しい話ですが、これらの情報を伝播する人間がしっかりと伝えなくてはならないと考えます。

人への情報伝搬で最も大きな影響力を持つのがメディアです。メディアの方々には、ニュースを見た人に間違った情報がインプットされないように心がけて頂きたいと思います。

栄養塩はなぜ減ってしまいましたか?

平成以前の大阪湾は、全体的に時計回りに大きな循環流がありました。大阪湾の栄養の大半は、大阪湾の一番奥にある淀川・武庫川・大和川の三河川から供給されています。以前は、陸からの栄養が阪南市や大阪南部まで大きな循環流により運ばれてきました。

しかし、関西空港・神戸空港・六甲アイランドなどの大きな埋立地が大阪湾にせり出してしまったために、海流が大きく変わり、湾奥だけで循環する流れと湾口だけで循環する流れに二分されてしまったと言われています。その結果、湾奥は栄養過多、大阪湾南部の湾口は栄養が少ない状態になっています。

河川から海に流入してきた栄養は、最初に海藻やプランクトンが利用します。湾奥は海藻が生えるような浅い場所が無いため、栄養の多くがプランクトンに利用され、利用しきれない栄養はそのまま残った状態となります。これが栄養過多の状態です。

一方で、大阪湾南部の湾口は、海藻も多い海域なので、海に入った栄養はプランクトンと海藻に利用されま。しかし、先に述べたとおり、今まで湾奥から十分に供給されていた栄養が減ってしまったので、海藻やプランクトンが育つだけの十分な栄養が確保できていないと考えられます。これが栄養不足の状態です。

今年もアマモサミットが開催されましたね

今年11月2・3・4日の3日間、大阪府阪南市で第11回全国アマモサミット2018in阪南が開催され、1500人近い方が集まってくれました。全国アマモサミットが正式に始まる前年に開催したプレ大会では、アマモ場再生の活動をしている人たちが小規模で集まった感じでした。しかし、2008年の第1回大会を国際会議と合同で横浜で開催しましたが、非常に多くの方々が参加されていました。その後も島根・鹿児島・大阪・福井と、回を重ねて今年が11回目の開催となっています。

最初は、NPOの活動発表や情報交換の場が主流のサミットでしたが、福井の小浜市で開催された大会は、水産高校生の生徒たちがアマモ場の再生活動を発表していました。高校生の活動を地域の商店街が支援していたこともあり、それをきっかけに協力してくれる企業も増えてきました。この小浜での高校生の発表がきっかけとなり、2011年の塩釜で開催された大会からは、高校生たちが主役の高校生サミットと合同開催となりました。

また、塩釜での大会では商工会議所が主催者となり、「震災からの復興」をキーワードに、商工会議所所属の企業や国の機関などが大会を全面的にバックアップし、新たに「地域再生」や「地域活性化」のきっかけを作っていく大会としてのミッションも持つように変化していきました。来年2019年は、復興の経過を報告したいとのことで、再び塩釜での開催が予定されています。

アマモ場の環境は劇的に良くなることはないと思いますが、今の活動はベストですか?

うーん、今がベストな状況なのかは正直分からないですね。私がやってきたことが合っていたかどうか、今は分からないんです。もちろん合っていたかもしれませんが、間違えているかもしれません。

技術は日進月歩で変化しています。それに、人の考え方も時代によって変わっていくわけです。今、我々がやっていることは、きっと良いことだろうと思ってやっています。ただ、自分たちのやり方を次世代にやってもらうべきという気持ちはありません。中学生や高校生が大人になって私と同じような立場になり、活動を始める時にその時代にあった考え方で進んで欲しい。

来年2019年にアマモに関するシンポジウムなど予定はありますか?

大阪湾で活動しているNPOや行政・市民たちでつくるネットワーク組織「大阪湾見守りネット」のフォーラムが年に一回あり、今年度は2019年3月9日に大阪府堺市で開催されます。第12回全国アマモサミットは 11月9、10日に宮城県塩釜での開催を予定しています。

また、私が所属して企画運営にも携わっている日本沿岸域学会の全国大会とシンポジウムが、7月19・20日の予定で、大阪府立大学のサテライトオフィスであるI-siteなんばで開催されます。全国大会とシンポジウムは、自然再生なども含めた沿岸域に関する幅広い分野の研究者たちが集まり、研究成果を発表します。また、シンポジウムでは、大阪府立大学と共同研究をしている「漁業と魚食がもたらす魚庭(なにわ)の海の再生」プロジェクトの成果報告があり、私もプロジェクトの一員として発表しますので、是非ご参加ください。

全国アマモサミット2018in阪南での小学生の発表

全国アマモサミット2018in阪南での
小学生と高校生による合同の発表

大阪湾のアマモ場 (阪南市尾崎)

小学生によるアマモ場生き物調査
(阪南市西鳥取漁港西側海岸)

小学生によるアマモ場生き物調査 (阪南市箱作自然海岸)

小学生によるアマモ苗移植 (阪南市箱作自然海岸)

小学生によるアマモ花枝採取 (阪南市西鳥取漁港東海岸)

関西大学北陽高等学校の生徒によるアマモの授業
(阪南市立西鳥取小学校)

関西大学北陽高等学校の生徒によるアマモ種子選別の授業
(阪南市立西鳥取小学校)

アマモの花 (阪南市西鳥取漁港東海岸)

大阪湾のアマモ場 (阪南市西鳥取漁港東海岸)

大阪湾の藻場 (せんなん里海公園さとうみ磯浜)

大阪湾のアマモ場 (貝塚市二色浜海水浴場)

大阪湾の藻場 (せんなん里海公園さとうみ磯浜)

アマモに産み付けられたイカの卵塊
(阪南市西鳥取漁港東海岸)

アマモ場のある海岸 (阪南市西鳥取漁港東側海岸)

小学生によるアマモの種まき (阪南市西鳥取漁港東側海岸)

<アマモ場とは>

アマモは海の草です。岩場のコンブやワカメと違って、砂地の海底に根を張り、花を咲かせ種を作って子孫を残していきます。アマモは、海中の栄養を吸収し、酸素を放出しすることで海の環境を整え、また小魚などの隠れ場や生育場、魚の産卵場となり「海のゆりかご」ともいわれています。

我々に出来ることは?(あなたの力が必要な理由)

近くの海の魚を食べることが、みなさんが最も簡単にできる環境保全の取り組みです。陸から海に供給された栄養は、プランクトンや海藻が消費し、これらを食べる小魚、それを食べる大きな魚介類、それを食べる鳥や人間へと移っていきます。これが食物連鎖です。そして、鳥や人間は陸上で糞や尿をして、それが陸の栄養となり、また川を伝って海に流れ込みます。栄養はこの様に循環するのです。例えば、毎日府民10000人が大阪湾の魚を食べれば毎日10000尾の魚が消費され、10000尾が取り込んだ海の栄養が陸に上がり、また海に還元されます。じつは、環境保全に対して変に気負わなくても、みなさんの普段の生活の中に少しの工夫をするだけで環境に優しいことができるのです。

ですから、海外から輸入した魚を食べるのではく、大阪なら大阪湾から、東京なら東京湾からというように、地産地消を目指して欲しいです。海外からの輸入品は日本に来るまでにどれだけの化石燃料を使っているかわかりません。国内の魚を食べるだけでどれだけ化石燃料の使用を抑制できるか、考えて欲しいです。

そして賢く成長してもらいたい。自然環境に対しても賢く接し、使い過ぎていたら賢く回避する。我々人間が今までしたことに対して、自戒の念を込めてお伝えしたいです。

岩井さんの想い

現在、海の環境を良くしようと実際に活動している人はほんの一握りの方達です。例えば、大阪湾全体の面積に換算すると、環境を良くする活動をしている人が少なければ、一人当たり大変な広さを改善しようとしていることになります。もしも大阪湾沿岸に暮らす方たちが、先ほど言った「普段の生活でできること」を実践してくれたら、母数が増え、一人当たり負担も減らすことができると思います。

それから、大阪湾をイメージだけで捉われないで欲しいです。以前 大阪中央卸売り市場の魚市場の方に「大阪湾の魚は食べられるの?」と聞かれたことがあり、大変ショックでした。そんな状態から脱するために自分の目でしっかり見て間違った情報に踊らされないようにしてほしいです。

写真提供:岩井克巳氏
取材・写真:上重 泰秀(じょうじゅう やすひで)http://jojucamera.com