今、あなたの力が必要な理由

vol.56

ラジオメディアにできること~深く静かに環境問題を考える~

石原文男

石原文男さん- Fumio Ishihara -

横浜エフエム放送株式会社 東京営業部長

静岡県静岡市出身。大学卒業後広告制作会社を経て横浜エフエム放送(株)入社。編成制作部、事業部等を経て、現在東京営業部所属。
プライベートではボサノバ・ユニット「学園前DUO」として活動。10月には、元町・中華街駅の発車メロディを作るべく「私の故郷は元町・中華街」、テレサ・テン没後25周年を迎えた追悼歌「紫色の花~テレサ・テンに捧ぐ~を同時リリース。世界に向けて配信中。

・学園前DUO HP:https://gakuenmaeduo.jimdofree.com
・私の故郷は元町・中華街:https://www.youtube.com/watch?v=T-NAEi-5v1c
・紫色の花~テレサ・テンに捧ぐ~:https://www.youtube.com/watch?v=ttkJAxXGqzs

石原さんは何をされていますか?

私は神奈川県横浜市にあるFMラジオ局の東京営業部に所属し、放送に関する営業活動をしています。2019年より環境活動を担当し、環境問題に関するイベント等のプロデュサー的な仕事をしています。

FMヨコハマの環境活動の取り組みについて教えてください

FMヨコハマは県域のFM放送局ですが、立地している神奈川県の海は江ノ島を始め全国でも象徴的な地域を抱えています。開局当初から「海」に関係する情報や音楽、番組を多く編成し放送していましたので、海の環境問題や各番組内でボランティアで清掃活動をされている方々をご紹介させて頂いたり、実際にリスナーの方々と一緒に海岸でのゴミ拾いを行っています。

いろいろな取り組みをされていたのですね

はい。2010年からは海関連だけでなく、「Keep Green&Blue」というスローガンの下、神奈川県内の環境トピックスを、独自取材とメディアパートナーの提携記事で情報を発信して、それと同時に自然教室やブルーカーボン啓蒙セミナーなど、リアルイベントも開催しました。残念ながら2017年3月31日をもって「Keep Green&Blue」は終了しました。

しかし「Keep Green&Blue」というテーマを通じての自然環境関連への取り組みは、放送、番組制作、営業活動等、当社全般の活動に引き継がれ、今もFMヨコハマ職員のマインドに活かされています。

横浜の環境はいかがですか?

横浜市は2008年に環境の先進的な取り組みを進める「環境モデル都市」に選ばれ、さらに2011年には、環境問題や超高齢化といった世界共通課題に先進的に取り組む「環境未来都市」に選定されました。2018年には「SDGs未来都市・横浜」として国内外とのグローバル・パートナーシップを築いて、環境・経済・社会的課題の同時解決を図る取り組みを始めている頼もしい地域だと思います。

これからの環境活動の予定はありますか?

今年は開局35周年という事で、国連加盟国が掲げる「SDGs」の14番目の取り組みである「海の豊さを守る」に特化して取り組んできました。今後も各環境団体様と、神奈川の海を綺麗にする活動を中心に継続的に実施して行こうと考えています。

また、環境問題に対するイベントは日本財団さんから当社の活動に対してご支援を受け、開局35周年記念事業として取り組んでいます。

今まで印象的だったイベントはありますか?

神奈川県は2018年に都道府県で唯一、SDGs最先端自治体に選ばれるほど、環境問題解決に取り組んでいます。その中で、全国一斉清掃活動の「秋の海ごみゼロウィーク」(2020年9月12日〜19日)が開催され、FMヨコハマではキックオフイベントとして、12日に江ノ島片瀬海岸東浜でビーチクリーンを開催しました。

ビーチクリーン終了後には、薄暮の江ノ島灯台下で点火式に黒岩祐治神奈川県知事、日本財団海野光行常務理事をゲストに迎え、特設ステージから公開生放送を実施し、無事に灯台をブルーのフルライトアップすることができ、印象に残っています。

すごいですね。他にもありますか?

10月31日、快晴のもと行われた沖縄チャンプルカーニバルでは、あの燃える闘魂アントニオ猪木をゲストにお迎えし、「日本を、世界を綺麗に!」とステージ上から訴えて頂きました。トレードマークである赤いマフラーをブルーのマフラーに替えて登場して頂いております。

また、イベント会場である日本丸メモリアルパークの帆船日本丸をブルーライトで照らし、「CHANGE FOR THE BLUE」の意義を、みなとみない地区から発信しました。

先日終了した「ポケットゴミ拾い」というイベントでは、このコロナ下で中々多くの方々に集まって頂く事が困難な中、ポケットに入るくらいのゴミなら個人でも簡単に拾えるという趣旨の元、ゴミ拾い活動を実施し大勢の方が参加してくれました。私も個人的に応募し、トングや紙ごみ袋を送って頂き、早速時間のある時に近所のゴミ拾いから始めさせて頂いております。

これからどのようなイベントがありますか?

開局35周年を記念して、「Always With You 〜今貴方に届けたい音楽〜」と題し、11月末からキャンペーンカーを走らせたり、クイーンズスクエア横浜でリアル×オンラインイベントをしたり、12月20日の開局記念日にはZepp Yokohamaでクレイジーケンバンドのスペシャルライブ。そして、2月18日〜12月20日には3days 35時間スペシャル特番などを実施予定です。

環境の事についてリスナーに何を伝えたいですか?

地元愛の強い神奈川県民ですが、海洋ゴミ汚染が深刻な現状を、まだまだ他人事と考えている方々が大半のように思われます。神奈川県内の平成30年度の海洋ごみ調査の結果が、環境省のHPに記載されていますので参考にしてください。

HPによると、主に都市部を流れる河川河口部では、ペットボトル・ビニール袋・タバコのフィルター等の生活系ゴミが非常に多く漂着しており汚染は深刻です。そして私は、マイクロプラスチックゴミの海洋生物への影響も懸念されていることを伝えていきたいです。

▽環境省 平成30年度海洋ごみ調査の結果について
http://www.env.go.jp/press/marine_litter/114768.pdf

深刻な状況を受けてFMヨコハマではどのような取り組みをしていますか?

海洋ゴミ、汚染問題の現状について未だ正確な情報が県民に伝達されていません。私は情報の伝達源が絶対的に不足していると思っています。また、情報が各人に伝わったとしても実際に実行に移す機会が限られていることが考えられます。

そのため、FMヨコハマでは地元メディアを通じて、継続的に海洋ゴミ問題を流布・伝達をしたり、実際に開催されているイベントと合わせてゴミ拾い活動の場をつくり、ゴミゼロへの意識を高めることをミッションの一つとしています。

将来的な目的はありますか?

海岸付近だけでなく、内陸地に居住している方々まで含めて、「陸のゴミが最終的にたどり着くのは海」「川のゴミが最終的にたどり着くのも海」という認識を広め、「海でも川でも陸でも、地域全体を綺麗にする」という意識と愛情を持ってもらいたいと思っています。そして、首都圏の人々がよく遊びに来る「神奈川」が中心となって「守ろう!私達の綺麗な海」を情報発信し、活動の幅を広げ、全国へ波及させていくことが最終目的です。

地元で愛されているラジオを中心とすることでコミュニティを形成し、全国へ派遣させることで実際の行動に結びつけ、日本全体が「海を綺麗にし、保っていく」意識を持ったコミュニティ形成を促したいと思います。

ラジオの発信力について

以前、私が関わっていた番組に作家の五木寛之さんがゲストにいらした際、「テレビは覚醒、ラジオは沈静のメディア」だとおっしゃっていました。確かにラジオはアッパーなメディアというより、陰陽で表現しますと、陽ではなく陰だと思います。情報に関しても、すぐ終わってしまうような興奮ではなく、深く静かに浸透する ような「陰」情報のほうが適しているかもしれません。

ゴミを拾うという活動も、どちらかというと、ゴミを黙々と拾いながら自分自身と向き合うような「陰」の活動ですよね。その点ではリスナーに届きやすいのではないかと思うのです。陰徳なんていいますが、皆さんもゴミ拾い活動を通じてどんどん陰徳を積んでいけば、きっといいことがあります。

FMヨコハマを視聴するにはどうすれば良いでしょうか?

普通のラジオ以外に、ラジオ放送専門の「ラジコ」というアプリがあります。ラジコを通して一都六県で聴取できますが、地方の場合はラジコプレミアム(月額350円)に加入していただくと全国どこからでも聞くことができます。

また、再編集した「守ろう私たちの綺麗な海」というコーナーは音楽配信サイトからポッドキャストで無料にて配信しています。ご興味のある方は、是非検索をしてみてください。

・ラジコ(radiko):http://radiko.jp
・「守ろう私たちの綺麗な海」:https://open.spotify.com/show/0SASXksMB7QqHHRcy60NQH

FM YOKOHAMAのロゴ

全国一斉清掃活動の「秋の海ごみゼロウィーク」江ノ島のイベントに登壇の黒岩祐治神奈川県知事、日本財団海野光行常務理事

10月31日、快晴のもと行われた沖縄チャンプルカーニバルの様子、トレードマークである赤いマフラーをブルーのマフラーに替えて登場

日本丸メモリアルパークの帆船日本丸をブルーライトで照らし、「CHANGE FOR THE BLUE」の意義を考える

海の近くにあるオフィスから望む日本丸

9月12日に江ノ島片瀬海岸東浜でビーチクリーンを開催

ゴミ拾い中の石原さん

HAMAYOGA2020 屋外で開催しているヨガイベントも
コロナの影響でオンライン開催

我々に出来ることは?(あなたの力が必要な理由)

汚ない地球からは汚ない果実しか得られないのではないでしょうか。

「生きる」という事は「食べる事」と同意ですよね。美味しくて安全な食べ物を口にして、健やかなカラダを維持していく事は、各々の人生を豊かにしていく事に繋がります。次世代の方々が安心して食べられないものが周囲に溢れていたら申し訳ないと思います。地球は人類の所有物ではなく、あくまでも「大いなるもの」からの借り物です。返す時(千の風になる時)には綺麗にして返したいですし。人類の一人としてのマナーではないかと思うのです。

自分は静岡の清水出身ですが、正直、海派ではなく山派でした。清水に住んでいた頃は、山や川は綺麗でも海はなんだか汚いというイメージでした。ところが、神奈川の海に来て見て驚きましたね。「うわっ、清水の海って綺麗だったんだ。なんて汚い海!」って。こんな汚い海に入って大丈夫なの?というのが最初の印象です。さあ、皆さん、海を綺麗にしていきましょう!

石原さんの想い

FM局員だからという訳ではありませんが、プライベートでもボサノバというブラジル生まれの音楽を創作や演奏をしたりしています。敬愛するミュージシャン、トム・ジョビンも環境問題に関心を持ち、彼は主にアマゾンの熱帯雨林を保護する活動を行っていました。作品も自然をテーマにした曲も多く、自分も彼のように、音楽と環境問題をライフワークにして、人生を全うしていければと思っています。

ボサノバ演奏中の石原さん

取材・写真:上重 泰秀(じょうじゅう やすひで)http://jojucamera.com