朝妻さんはどのような活動をされていますか?
私は、応援そのものに特化し世の中を元気にするために設立した日本唯一の協会である「一般社団法人全日本応援協会」の代表理事兼、協会所属のチアチーム「全日本女子チア部☆AJO」の部長(リーダー)をつとめています。
「朝チア」として早朝の駅前で出勤途中の皆様を「チアで勝手に応援」し、社会を元気にする活動をし、終了後には観客の皆さんと一緒に街の清掃活動を行っています。
また、協会として 「応援のチカラ」と題しての講演活動、応援がもたらす効果や影響を学ぶ応援学の構築、「応援アワード」をプロデュースするなど、様々な形で応援を創り届けています。
朝チアについて詳しく教えてください
毎週木曜日・金曜日の朝8時頃から約20分間、道ゆく人をチアで応援しています。活動の拠点として東京都は新宿・新橋・池袋・後楽園、神奈川県では桜木町・川崎・武蔵小杉などで展開しています。
また企業・団体、被災地などからご依頼を受けて出張応援に伺うこともあり、これまで私の出身地である北海道旭川市をはじめ、全国各地の駅前で道ゆく人を応援しました。ここ最近では、埼玉県警所沢警察署と交通安全キャンペーンでのコラボなどもさせていただきました。
活動している10名ほどのメンバーは、それぞれ多様な仕事を持ち、自身の殻を破るため一歩踏み出す勇気で入部。応援をすることで人生が前向きになり今ではライフワークとなっています。
朝妻さんはなぜこの活動を始めたのですか?
今でこそ、フリーアナウンサーとして、テレビのリポーターやイベントの司会、ラジオDJなど多様な仕事をしていますが、実は朝チアと出会う前は、どんなにオーディションを受けても全く採用されませんでした。
自分は価値や魅力がない人間だと悩み落ち込んでいる時に、新宿駅西口でたった一人で「応援」活動をしていた齋藤彩さんに出会いました。
彼女のダンスやスピーチは生命力に溢れ、その応援活動を見て、私もチアで人を励ませる人になりたいと思い、飛び込んだのがきっかけです。
そこから二人で4年半活動を続けた後に、齋藤さんは結婚を機に引退しました。私は、一人で継続するのか悩みましたが、自分の応援を見て、勇気を持てる人がいるかもしれないと思い、続けようと覚悟を決めました。
応援を実際に始めていかがでしたか?
応援する側となり、観て下さった方々の笑顔に出会う度に前向きな気持ちになり、自身を肯定できるようになりました。また、長く活動を続けていると、いろいろな方に出会います。「応援に力をもらった」という嬉しい声も多くいただきます。
リストラされたという50代くらいの女性が私たちに「あなたたちの活動を見て、私にも何かできる気がしてきました」と声をかけてくれました。その数日後、私たちの活動のすぐ隣で彼女が靴磨きをはじめていたのです。私はその一歩踏み出した姿を見て逆に勇気をいただきました。
また、60代の女性が、私の手を握り「娘がガンになり塞ぎ込んでいましたが、一生懸命に応援する姿を拝見して、私も前を向かないといけない」と涙ながらに伝えてくれた際は、「活動を続けていれば想いは人の心に届く」のだと感動しました。
逆に、活動を否定されることもあります。それに対しては「応援しているのに、どうして?」と思った時期もありました。しかしこの活動は誰に頼まれたわけでもなく、求められているとも限りません。自分たちが勝手に応援しているだけなので「どうして?」と思ってしまうこと自体「エゴ」だと思うようになりました。さまざまな声を通し「価値観の違い」を受け入れることも大切なことだと気がつきました。
コロナ禍の活動は?
予定していたイベントは全てキャンセルになり、朝チアも緊急事態宣言により中止が続きました。そこでリモートの普及に合わせ、朝チアもリモート開催するなど工夫しました。
動きを合わせるなど難しいところもありましたが、生配信の形をとることで観てくださった方からのコメントでのやりとりなど、別の形での繋がりができ、新しい応援の形を生み出すことができました。
朝チアは1200回以上も続けているのですね
はい!ちょうど、3回目の緊急事態宣言が始まる前に、応援回数が1000回を達成しました。コロナ禍の自分たちの「勝手に応援」がロイター通信やニューヨークタイムス紙など海外メディアを通して世界に伝わったことで、さらなる活動へのモチベーションや感謝の気持ちが大きくなりました。
毎回、応援活動の後にゴミ拾いをされているそうですね
はい。応援のアイテムであるポンポンの一部が落ち、そのテープゴミを拾っている時、路面に多くのポイ捨てゴミが落ちていることに気付きました。そこから自然と朝チアが終わった後にみんなで清掃活動することが習慣となりました。
街をキレイにすることは、街を応援することに繋がります。今では私たちの踊りを観ていただいている方々と一緒に清掃活動をしています。
街のゴミを拾う活動で気づいた点などありますか?
私たちが活動している駅前には、タバコのポイ捨てが本当に多いです。そして繁華街に進むほどペットボトルや空き缶が増えていきます。よく見ると植え込みなど、人の目につかないところに捨ててある箇所も多く見受けられるので、注意をしながら拾うように心がけています。
応援活動も清掃活動も「継続」と「一歩踏み出した後の気づき」が大切なのですね
はい。まさにお言葉の通りだと思います。応援活動も単発だけだとあまり変わりません。言ってしまえば「自己満足」で終わってしまう活動も、継続していくうちに街も人の心も変わっていきます。
そして私たちの活動に理解を示す人、さらには賛同し清掃に加わる人が出てきます。全てのスタートは「一歩踏み出す勇気」からです。
その他携わっている環境活動について教えてください
朝チアのゴミ拾いだけではなく、大阪を拠点とする「アースフレンドシップフェスティバル(全国同時多発チャリティー清掃活動を主催する団体)から、東京での活動のリーダーも任されています。
毎月最終日曜日の朝9時から新宿駅東口にて、チャリティー防犯清掃活動を行っています。参加費は1人1000円で、半分は海外の子どもたちへ、もう半分は清掃活動をした地域の子どもたちのための寄付となります。先日新宿区役所から感謝状をいただきました。
街の清掃活動は海の環境を守る?
以前にナショナルジオグラフィックさんと、環境問題を子供たちと考える番組イベントの司会をさせていただいた際、私はマイクロプラスチックの被害など海の現状を初めて知りました。
また先日参加した神奈川県藤沢市江ノ島での清掃活動の際、「海のゴミは街からやってくる」という状況も知りましたので、これからも街の清掃活動を継続し、盛り上げながら海の美化に協力したいです。
海岸でゴミを拾ってみていかがでしたか?
海岸にはマイクロプラスチックやペットボトルや空き缶など、まるで街中にあるようなゴミが多くありました。街からゴミは流れてくると聞いていたので、現実を突きつけられた気がしました。
駅前のゴミは、飲食物の入れ物やタバコのポイ捨てが圧倒的に多いです。このような街ゴミが海に流れないように気をつけていきたいです。
朝妻さんにとっての「環境活動」とは?
朝チア後の清掃活動はもちろん、フードロスが出ないように心がけています。小さなことですが、コンビニでも手前の商品を手に取って購入するようにしています。地球環境を守ることは、生物を守ることになり、結果として自分たちを守ることにつながりますね。
今後の活動や夢は?
私たち全日本応援協会AJOとパートナーシップを組める企業さんや、共に活動してくださる個人会員さんを募集しています!将来的には各県に支部を作ることが目標です。
また、教育の中に「応援」を根付かせ、「応援」の可能性や価値を広く知っていただきたい、という想いから「応援アワード」を開催し、応援に貢献した個人や団体を毎年表彰しています。2023年もより多くの人を巻き込んで、世の中に応援ムーブメントを起こしたいと思っています。
また、全日本応援協会の会員さんが1000人になった暁には、環境×応援がテーマのサミットなどをやってみたいです!