BLUE SHIP とは

2023.03.24(金)
2023年3月7日 品川区立京陽小学校にて、6年生が地元の植生を野外学習!


学校の森づくりシリーズの中でも年間10時間確保し、土壌づくり~植樹・調査・地域景観巡りまでカリキュラムに組み込まれた京陽小学校の先生方の教育姿勢は、事例として全国的にも特出しています。お会いする度に児童への教育の熱意と創意工夫を拝見し、シルワも沢山の学びをいただいております。
今回は、京陽小学校の校庭内で品川区平塚本来の植生を用いた森の再生に挑戦する中で地元の植物や景観も学習しよう!と『地域の景観巡り』を六年生児童と行いました。実際には、移動時間の確保もあり、何箇所も見学することが難しかった為、室町時代の大永六年(一五二六)の御創建と言い伝えられ、土地の守り神(村社)として護持されてきた『戸越八幡神社』にそびえ立つ古木を中心に鎮守の森を観察しました。
御社殿は、江戸時代(安政二年一八五五)に落成した総欅造り。都内に現存する珍しい木造の建物です。移築時には、ニホンミツバチの巣が発見され、地域の方々と神主様が試行錯誤され、新たな棲み家が提供されていました。そうした社殿周囲に点在するアカガシやタブノキ・スダジイや天然記念物のケンポナシの大木等々、限られた時間の中で可能な限り、生で触って、五感で感じて、地域らしさ、日本らしさを学んでいただきました。
鎮守の森の樹種の中には、東京大空襲の焼夷弾で被爆し、根元しか残っていない直径約1mの大木の株跡がありました。第二次世界大戦末期にアメリカによって行われた大空襲で東京都は、1944年(昭和19年)11月24日から1945年(昭和20年)8月15日まで、実に106回に渡り空襲を受けたと歴史書へも記述されています。
その期間、戸越八幡神社の鎮守の森である大木の樹冠が建造物を上空から隠し、目視できなかったお陰で、1本の大木のみが被爆し、貴重な社殿は、難を逃れ現在まで残ったと云う逸話がありました。木の種類は、壊死していたことと、切り株状態のため、安易に特定出来ませんが、日本特有の広葉樹であったことは間違いなく、広葉樹の広い葉の形状が大きな日傘となり、人々を護ったという奇蹟の場所でした。六年生児童の皆さんが身近な歴史と共に防災としても機能する植物の力を少しでも学び、記憶に残して貰えればと願うばかりです。